遊ばまほしきばかりなれど
ルービックキューブ。
「よぉい」
「ちょっと待て」
マスターとクレイジーは声を揃えた。
「私としたことが」
キーラはにっこりと。
「ルールの説明を忘れていた」
「そうじゃない」
「息ぴったりだねえ」
そういうことでもない。
「お前僕たちのこれ見てマジで言ってる?」
「これはこれは」
半ばから失われている包帯に覆われた右腕をぶんぶん振って見せつけるクレイジーに対しキーラは笑顔を絶やさずに。
「創造の力を持ち得ているにも関わらず、敢えてその姿で居られる方だ。今更だろう」
ぐぬぬ。
「クレイジー」
「兄さん!」
もういいとばかりにマスターが右手を軽く挙げたところでクレイジーは納得がいくはずもなく──テーブルの上には予め面がバラバラになっているルービックキューブが二つ用意される。
「全ての面をより早く揃えた方が勝ちを制するということでどうだろう」
「見易いな」
いやいやいや! あっちはシンプルに両手なのに勝ち筋が絶望的すぎる!
「……クレイジー」
マスターは溜め息混じりに呼んで。
「大人しく見ていろ」