恋は盲目とは言うけれど
あーあー駄目です、そんなこと言ったら──
「亜空軍ッ!」
臨戦体勢から動き出すのも早く青い電撃と舞い上がる砂煙と悲鳴と何故か歓声と。会場はあっという間に大パニックになってしまいました。
明らかに亜空軍のせいです。
あーあ!
「正義部隊の連中どんだけ過激派なんだよ!」
もう何とも言えない。ルルトとミェンミェンの繰り出す攻撃を躱しながら会場を逃げ回る始末なのだから今日という日は二度と忘れられない思い出になりそうである。
「うわっ!」
電撃が足下に撃ち込まれるとクレイジーは躓きかけて声を上げた。それが苛立ったのか背後の二人を鋭く睨み付けると左目に赤が灯る。
「きゃあっ!」
襲う赤黒い斬撃にルルトは悲鳴をあげる。
「……上等だわ!」
「兄さん!」
え。なんだその目は。
「ちょ」
右から左から腕を伸ばして繰り出されるミェンミェンのパンチを身を捩らせながら回避して。
「意地悪してる場合かよ!」
恐らくお得意のバリアを張れと訴えかけたつもりだったのだろうが予想に反して伝わらないし回避に専念する一方なので驚いたことだろう。当然呼ばれた程度で察する程絆が仕上がっているはずもないしそもそもの話が兄だと思われているのは勘違いである。
「おい!」
クレイジーが痺れを切らして呼びかけると後ろから浮遊しながら追いかけてきていたキーラとダーズが速度を緩めて振り返った。
ミェンミェンの繰り出したパンチをダーズの影から這い出た触手が受け止め、次いでキーラの周囲に展開した螺旋の羽が鋭く形状を変化させてルルトに襲いかかるもルルトはこれを地面を強く蹴って跳び上がり回避。空中で回転を繰り返して勢いづけて電気を纏いながら降下。
「はあああッ!」
空からの奇襲にクレイジーは反応が遅れて。