恋は盲目とは言うけれど
ああ。併せの人は今頃どうしているだろう……
「ありがとうございました!」
ようやく列が切れて小さく息を吐く。それでもキャラクターイメージを損なわないように終始にこやかに撮影をお願いしてきた一般参加者が完全に立ち去るまで崩さずに。
「兄さんもひとが良すぎるんだよ」
クレイジーは呆れたように溜め息を吐き出す。
「断ったらいいのに」
……ノリノリでポーズ決めてたような。
「そういえば」
クレイジーは思い出したように。
「企業ブースの方はどうだったんだよ」
何故彼らがこんなどう足掻いても無縁と思われる場所に足を運んだのかと思っていたがそれが目的となると話は変わってくる。この世界の主だからこそ、テーマとなっているゲームを扱った企業がどんな内容の出展をしているのか気になりお忍びといった形で参加したのだろう。
「えっと」
企業ブースなんて神々のスペースに足を運べるはずもない。故にどうと言われても困る訳で。
「あ」
ダーズが声を上げた。
「お兄様。正義部隊だよ」