恋は盲目とは言うけれど
ええ……
困惑ここに極まれり。同胞達よ、拙者は今亜空軍率いる神々と行動を共にしているで御座る。
「人がゴミのようだねお兄様」
「塵に失礼だが」
「なーんでお前らまで付いてくるのさ」
こうしてぞろぞろ歩いても周囲が騒がないのは今日という日はコスプレをしている人が会場に溢れ返っているからである。
「せっかくのデートを邪魔しやがって」
正直、デートには相応しくない場所に思えるが二人で歩ければ何でもそう解釈しそうだな。
「じゃあダブルデートってやつだね?」
「勘弁してよ。お守りしてる気分だっつの」
ねえ兄さんと話を振られればミカゲは弾かれたように顔を背けた。
「……てか」
クレイジーは眉を寄せながら。
「今日の兄さんちょっと違くない?」
当たり前だろ!
ちょっとも何もそもそもの話が別人で御座る! 等と訴えるだけの勇気があるはずもなく。
「は、はは……」
マスターハンドなら。
「……お」
ミカゲは顎を人差し指と親指で挟みながら。
「俺も、デートが楽しみだったからな……」
不自然だっただろうか。自分自身寒くて風邪をひきそうなくらい寒い台詞だ──ミカゲは冷や汗を垂れながらクレイジーをちらりと見る。
「や、やだなぁ兄さん。そんな、人前で……」
赤く染まった頬に手を当てながらくねくね。
うーん。大丈夫そう!