恋は盲目とは言うけれど
「ど、どうも……」
……そんなことある?
戸惑いを隠しきれないままミカゲが差し出されたその手を取るとキーラは立ち上がったミカゲを目に少し時間が止まったかのように見えた。即座にっこりと笑い取り繕うと周囲のことなど気にも留めずまるで背丈を合わせるかのようにふわりと数センチほど浮遊して隣に並ぶ。
「えっと」
無論戦う訳にはいかない。一般市民を巻き込む恐れがあるから当然と言えば当然なのだがそれ以上に事件を終えて休戦協定を結んでいる彼らが戦うというのは原作厨の自分にとっては圧倒的解釈違い。オタクなりの拘りである。
「その」
そもそも何故ここにいるのだ。
「私としたことが」
問いを投げ掛けるまでもなくその疑問はキーラ自ら晴らしてくれた。
「破壊神が懸命に探していたからな。私も弟も進んで協力を申し出たまで」
ということは。
「あっ」
姿を見つけるなり膨れっ面。
「何処に行ってたんだよ」
薄い赤色の髪が映えるそのひとは。
「兄さん」