ロックマンの何もしない一日



金髪。天辺のアホ毛がぴょこんと跳ねる。

「驚いたよ。まさか君が来るなんて」


ロックマンの隣を歩いていたのは──ルーティだった。実は裏通りに入っていくロックマンの後に巨漢が続いたのを見て横断歩道を渡るのを手伝った女児が助けを呼んできたのだ。

「あはは」

ルーティは苦笑いを浮かべる。

「それにしたってさすがに無茶苦茶だよ。手を出さないように対処しようなんて」

そうは話すも駆け付けた頃には死屍累々だった現場こそ何よりもの証拠。そうだろうかと首を傾げているロックマンだが全くもって無茶でもなかったのが現実なのだから恐ろしい。

「ロックマンらしいね」

ルーティは肩を竦めて笑った。

「……俺らしい?」
「今日一日何もするなって言われたら僕は多分見て見ぬふりとかしちゃうと思う」

事情は話してあるのである。

「電車の席を譲らないとか並んでいたのに列に割り込むとか」

ルーティは歩きながら。

「その全てを拾ったって正義にはならないし見過ごしたからって悪にもならないと思う。もちろんどちらも積み重ねていけば正義にも悪にもなるんだろうけど"なるためにやる"とは違う話でしょ?」
 
 
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