ロックマンの何もしない一日



……追い出されてしまった。

携帯端末まで取り上げられてしまったのだから成す術がない。ロックマンはちらりと自室の扉を見たがこの場は諦めて立ち去ることにした。

「隊長!」

歩き出した矢先にカンナが駆け寄る。

「お疲れ様です!」
「もう任務を終えたのか」
「はい!」

彼女には緊急の任務をお願いしていたはずだが優秀なことだ。日が落ちる前に戻るとは。

……少し焦げ臭いのが気掛かりだが。

「実は、相談があって」

ロックマンは傍聴の姿勢に入る。

「今回の任務先の施設についてなんですが」
「──姉さん!」

一体何処から聞き付けてきたのか急ぎ足で飛び込んできたのはカムイだった。

「、カムイ?」
「いいからこっちに!」

そう言ってカムイはカンナの後ろに回ると背中をぐいぐいと押しながら行ってしまうのだからロックマンはぽつんと取り残されてしまって。

徹底して仕事と関わらせたくないらしい。

「ふむ……」

急にサボれと言われても困る。顎に手を添えて考えてみても何一つ思いつかない。何もしないということがこんなにも難しいことだとは。

ロックマンは特に何も思い浮かばないまま歩き出した。寮に居たところで自室を追い出された以上は寛げる場所もない。彼らの言葉に甘えてたまには街に出かけてみるとしよう。……
 
 
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