犬猿の仲なれば
「く……っ」
全身を巡る薬の効果で抵抗も儘ならないまま両手を捕らわれて壁に押し付けられる。スピカの睨み付けた先の相手も頬をうっすら紅潮させて浅く息を弾ませている。接近を躱すように顔を背ければその唇が首筋に触れた。相手が相手だと分かっていても薬に侵されたこの体は素直に反応を示す。色っぽい息遣いが着実にこの部屋の温度を引き上げて艶やかに染め上げていく。
「は、……正義部隊のまとめ役が」
スピカは苦笑いにも似た笑みを浮かべながら。
「性的欲求には逆らえないときたか」
ロックマンは答えない。
「っ、」
両手を解放された──かと思いきやその手はスピカの衣服を崩しにかかっていた。やめろ、と呟いて手を掛けるも薬のせいか力が入らない。そうこうしている間に晒された肩に唇が触れてスピカは奥歯を噛み締めた。せめてもの抵抗とばかりに頬に黒い閃光が跳ねるがロックマンは顔を上げると目を細めてじっと見つめて。
……やばい。
「ぁ」
もう。目の前に──
「ルフレ」
ぽつりと呼んだ名前に応えるように。
「見つけたわ!」
扉の向こう側──ルフレが腕を打ち払う。
「デンショッカー!」