犬猿の仲なれば




天空大都市レイアーゼの誇る絶対忠義の正義の集団。──フォーエス部隊。

「B班は右へ!」
「はいっ!」

新世界創造計画を目論む亜空軍の主将が従える純粋なる悪の集団。──ダークシャドウ。

「リーダー!」


レイアーゼ都内の外れにある廃ビルの中で爆発音が鳴り響いた。窓が割れ黒煙があがるも一般市民は知る由もない──廃ビルの内部、黒煙の立ち込める通路を駆ける影が二つ。

「情けねー声を出すな!」

ダークシャドウリーダーを務めるスピカとその彼を忠犬のように慕う男ダークウルフ。

「……、ますか、聞こえますか!」

無線からダークファルコの声が聞こえる。

「何階ですか!」
「位置情報で把握できねえのか!」
「ジャミングが掛かっているんです」

代わりに応対していたダークウルフは舌打ち。──冒頭からダークシャドウが追い詰められているのには訳がある。遂行中の任務の中で第四正義部隊フォーエス部隊と鉢合わせてしまったのが運の尽き。前以て計画を立てていたのかと疑うレベルの見事なまでの連携で、あれよあれよと言う間に数名の撤退を余儀なくされこうも追い詰められてしまった。

廃ビル周辺には強力な電磁波が仕掛けられこれ以上の他の介入を許さない──そんな中でようやく無線が繋がり朗報が届いた。

「──急いでください!」

ダークファルコの言葉が正しければ次の通路を右に行った先の突き当たりの部屋に廃ビルから亜空間へ脱するためのワープゲートが──

「、!」

後方から紫の矢の群れ。回避するスピカの腕を掴んでダークウルフは抱きかかえる。そのまま駆けていくも数メートルと走らない内に爆発が二人を襲った。意識が遠のく。

万事休すってやつか。……
 
 
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