You are Game Master!
がやがやと。聞き慣れない音が響いてくる。
「賑やかなことだな」
「隊長、あまり来たことないっしょ」
その少年は息を吐いて応える。
「仕事でなければ来るはずもないな」
黒く。煩わしく。悪という存在はいつ如何なるタイミングで何処に現れるものなのか誰であれ凡そ検討もつかない所謂神出鬼没の魔物。
依頼が舞い込んでから慌ただしく動き回り剣を振るうのでは遅いのだ。平穏な日々を約束するのが正義なら先回り警備を怠らないというのが本来有るべき正しい姿だと思う。
「好んで来る人間の気が知れないな」
とはいえ。警備の対象くらいもっと耳に優しい所を選ぶべきだったか。
「パックマンのことディスってる?」
「見逃してやろう」
この場が相当お気に召さない様子のフォーエス部隊隊長ロックマンを横目にやれやれと今度はパックマンが息を吐き出す。
「いいじゃん。後でプリクラ撮ろうよ」
「遊びに来たわけじゃないんだぞ」
「えー。仕事となると途端にドライなんだか」
歓声が声を掻き消した。釣られて其方を見れば何やら人集りが盛り上がりを見せている。
「おいおいマジかよ!」
「すっげえな!」
パックマンは目を懲らせて。
「なんかゲームの大会やってるみたいだね」
……賑やかなことだ。
「私たちも見に行こうよ!」
騒ぎを聞きつけて少女たちが駆けていく。
「相手の人──片手だけなのに去年の優勝者を一方的に叩き伏せたんだって!」
──"片手だけ"?
「いくぞパックマン」
「ちょ、隊長?」
いやに引っ掛かる。まさかとは思うが。
確かめてみないことには。