You are Game Master!
苛立ちを隠せない様子の男を目に弟は此方側へ引っ込んで満足げに悪戯な笑み。
「ごめんね。煽っちゃった」
キャラクターを選択。次のステージ選択画面に移動するとクレイジーは覗き込みながら。
「ね。本当に大丈夫なの?」
「無用な心配だな」
レバーやボタン付近に表記されているコマンド表を確かめるように指を滑らせつつ。
「初見であるなら未だしも」
「やったことあるの?」
「いいや。実際に操作するのは初めてだ」
クレイジーは目を丸くした。
「言ってくれれば操作するのに」
「不要だと言っただろう」
「意地を張ってるわけじゃないよね」
「お前じゃないんだぞ」
それを言うとクレイジーは膨れっ面になった。実に分かりやすいことだ。
「泣きついたって知らないからね」
「はは。なら俺が勝ったらどうする?」
「条件出したら兄さん強いから絶対やだ」
くすくすと。
「……始まるな」
二点先取で勝利といった点はどのゲームであれ変わらないようだ。画面が切り替わるとキャラクターが向き合っている様子が映し出される。ゲーム開始のカウントも始まっていないというのに対戦相手の男はコマンド入力のイメージかガチャガチャと、兎角五月蝿いことで。
「──ラウンドワン!」
店員の男はカウントに合わせて声を上げる。
「ファイッ!」