You are Game Master!
難しいルールではない。
二人プレイで敵を撃破しながらステージを進み最終的にボスを撃破すればクリア。決勝戦では被ダメージを抑えることはもちろんどれだけの敵を撃ち漏らさずそれでいて高得点を叩き出すヘッドショットを狙えるか否かが鍵となる。
ステージは固定。このゲーム自体拝見するのは初めてだが全てではなくひとつのステージだけなら出現パターンを覚えられる。
「……?」
クレイジーはきょとんとして見つめた。
「フィニッシュ!」
観客が沸き立つ。
──クリアランクはAランク。敵を残らず撃ち抜いていれば誰であれ取れるものだ。とはいえ此方はコントローラーを何とか握れたところで扱う余裕もないであろう爆弾を抱えている。
「さあ、後攻の選手は前へ!」
ゆっくりと踏み出す。すれ違う際にやにやと小馬鹿にしたような視線を送られたが全くもって構う必要はない。筐体の前に兄弟で肩を並べて立ちコントローラーを手に取る。
「クレイジー」
何かを言うよりも先。
「お前は目を瞑っていろ」
……は?
「な、なに言ってるんだよ兄さん!」
クレイジーも思わず声を上げた。
「いくら僕が足手まといになるからって──」
「俺が指示を出す」
はっきりと。
「敵の出現パターンや行動パターンは凡そ把握済みだ。お前が目を瞑っていても俺の指示した通りに操作をすれば充分、敵を一掃できる」
……カウントダウンが始まる。
「想像しろ。お前は一点の曇りもない真っ白な世界の中で出現する風船を相手にする」
心臓が鼓動を打つ。
「お前にはもう何も聞こえない」
誘われるように瞼を閉ざす。
「俺の声だけを聞け」