You are Game Master!



ポップなゲームミュージック。上下左右を表す矢印パネルの設置されたステージ。そしてその後方に取り付けられたバーとまでくれば誰しも見覚えがあることだろう。


そう。

今度のお題は。


「店員のクセに手間取ってんじゃねェぞ!」

編み込みスタイルの男は声を荒げる。

「こっちも忙しいんだよ!」
「す、すみません……!」

不慣れな店員が相手であることをいいことに怒鳴り散らしてなんとまあ単細胞だこと。

「オイ餓鬼」

ちらりとクレイジーが視線を返すと編み込みの男はにやにやと目を細めながら。

「俺は足が長ぇからよ。せいぜい気をつけな」

そう忠告をして嗤う男からふいと視線を外して観客サイドへ。今度視線を交えた兄がにこりと笑ってひらひらと手を振れば纏う空気も途端に花咲く愛らしい色に染まるというもの。

「……それでは」

編み込みの男は分かりやすく舌を打ってバーに両肘を掛けて寄りかかる。

「ダンスバトル、スタート!」

今回の為に選ばれた曲は三箇所でテンポが変化するプレイヤー達の中では有名な高難度の曲。

かといってやることは変わらない。楽曲に合わせて画面に矢印オブジェが流れてくるので指示された通りのパネルをタイミングを合わせ足で踏んでいくだけ。そこにプラスアルファとしてどちらが高い評価を得ることが出来るのか──このバトルではそれを競うこととなる。

フルコンボは前提としても最高評価を得られるタイミングでパネルを踏む他に勝算はない。

「あいつ、店のランキングのトップ独占してる奴じゃないか?」

外野の声が聞こえてくる。

「それに対戦相手も可哀想だよなあ。左目だけじゃディスプレイが見えにくいだろうに──」
 
 
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