You are Game Master!
「、よぉし……」
ごくりと息を呑んで目を見張る。
「いけっ! そのまま!」
「静かにしろ。声の振動で落下したら」
「はぁ? そんなことあるわけ」
言うや否やのフラグ回収。
「──あぁあッ!?」
さて桜も役目を終えて春の季節も過ぎたとある日の昼下がり。様々な声や音が混ざり合うこの場所は天空大都市レイアーゼ繁華街の中にある大きなゲームセンターである。
「コイツいくら吸えば気が済むんだよ!」
「まあそういうものだしな」
とあるクレーンゲームの筐体の前で肩を並べて奮闘する同じ背丈の少年が二人。
普段と異なって一般人に扮した服装であるため一見して分かりづらいがその正体はなんと幾度となくこの世界を恐怖に陥れてきたあの亜空軍率いる主将のマスターとクレイジーである。
「ちっこいのなら簡単なのに」
そう呟いて睨み付けた先には硝子の向こう側にあるぬいぐるみをじっと見つめるタブーの姿。
「やれやれ」
すっかり心奪われた様を見てしまっては下手に諦めろなどとは言えない。今日この日は見ての通り本来ある役目に休止符を打って三人で過ごそうという話で外に出てきた日なのだ。
「兄さんでも取れないなんて」
「技術があってもこいつが弱いのではな」
そう言ってマスターは指の背で硝子を叩く。
「……両替してくる」
「ああ。頼んだ」
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