神のみぞ知る世界は
「やれ。厚かましい」
「よくも表舞台に出てこられたものよの」
──そんな声が。ひそひそと。
「ルーティ」
ぱっと振り向いたルーティをすかさずピットが肩を掴んで宥めるように呼んだ。
「仕方ないよ」
……心の奥底にざわつくものを感じた。
「あいつらもそれは分かってる」
そうして投げられた視線の先で彼らはいよいよ席に着こうとしていた。どくどくと心臓の音が煩わしいが上手く言葉が出てこない。
「始まりましたね」
程なくして和楽器の織り成す軽やかな音色が会場全体を包み込んだ。見ればどうやら見世物のようで使いと思しき薄手の装いの少女らが舞を披露している。しかしマスターもクレイジーも他の神々に盃に酒を注がれ挨拶を交わしている様子だが結局のところ二言三言で真に楽しんでいるという風には見て取れない。
「彼らは"この世界"における最たる位を持つ神様ですから。神在祭の参加は決して強制ではありませんが怠らないのは最高責任者としての自覚が働いているからこそなのでしょうね」
……最高位の神様としての責任、か。
「じゃあそろそろボク達も」
言い掛けて。終始無言、ルーティが離れて歩き出すのをピットは慌てふためく。
「ちょっとぉ!」
「だから連れてくるなと言ったんだ」
ブラピは眉間に皺を寄せて舌打ち。