神のみぞ知る世界は
一旦は怖気付いてしまった自分だったが時間が経つにつれて慣れというものが生まれてきた。あれはこれはと(失礼ながら)指差してどんな神様なのか、どんな役割であるのか問うたびその答えを得るたび姿形が異なるだけで結局人間と変わらないのだなという結論に落ち着く。
誰がどの位であれ今日この時だけは誰も笑顔で分け隔てなく盃を交える。それこそが神在祭の醍醐味といったところなのだろう。
「これっていつ終わるの?」
「お前もう飽きたのか」
「あんなにはしゃいでたクセに」
うっ、と言葉に詰まる。
「この神在祭は一週間ほど続きます」
「一週間!?」
「ですが神様にも都合はありますから顔出しを終えたら帰る神様もいますよ。私だってこんなむさ苦しい所に長居はしたくないですし」
成る程。容赦ない。
「でも戻ってきちゃったね」
大神宮の宴の会場はもちろん広いが八百万の神様が集まるというのだからしっかりと隅から隅までなど回れない。それでも元の入り口付近に戻ってきたのだから何とか一周したのだろう。
「じゃあそろそろ帰る?」
「まさか。今帰ったら怒られますよ」
きょとんとした。
「神在祭は"これから"始まるんですから」