神のみぞ知る世界は



前述の通り。"神在祭"が行なわれる期間中は神様か或いはその使いでなければ大神宮に足を踏み入れることは許されない。ところが、そのどちらでもない至って普通の人間である自分が其処にいるのだから特別な権利を与えられたのかといえばそうであるはずもない。

これに関しては純粋に好奇心が勝り無理を承知で頼んでみたところ二つ返事であっさりと引き受けてもらえたのである。もちろん、側を離れないことやこの蔵面を何があっても剥がれないよう注意を怠らないことなど条件はあるがその程度のこと破るはずもない容易いこと。

ともあれ夢の権利を得たのだ。今回があったからといって次もあるとも限らないので何か特別なことをするでもないが本来目にする筈のないこの光景を慎重に存分に焼き付けておこう。

「これはこれは。光の女神殿」

声を掛けられたのは自分ではないが何故か頭に響くような声にびくっと肩を跳ねる。

「今年も賑やかなことですな」

それもそのはず。

──頭の先から爪の先まで白布で覆い本来顔がある場所に翁面を付けた優に三メートルはあるであろう巨大な其れが、腰を曲げてにこやかに此方を見下ろしていたのだから。

「あら。お元気そうで何よりです」
「相変わらずでっかいなあ」

笑顔で対応するパルテナと率直な感想を述べるピットと。ブラピの後ろで縮こまる僕。

神様も人型ばかりじゃないよな。……うん。
 
 
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