神のみぞ知る世界は
神様と人間は。
例えるなら月と鼈のような。でも本当はもっともっと近い……寧ろ隣り合わせなんです。
なんて。
濃霧立ち込める森の奥深くに大神宮はある。
人知れずぽつりと佇む其処では神無月と呼ばれる一定の期間に八百万の神々とその使いが集まり宴を催す"神在祭"が行なわれていた――
「ほわっ」
間抜けな声を上げて転けそうになる。
「、大丈夫?」
その傍らで心配する少年に苦笑いを返して白い長方形の紙の一面に大きく"鼠"と書かれた蔵面を剥がれ落ちないように手直しする。
「何もないところで躓くなんて」
長い緑の髪の美しい女性は頬に手を添えて。
「所謂"ドジっ娘属性"でしょうか」
「僕は男だよ」
今年も言わされるのか。この台詞。
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