お姉ちゃんに任せなさい!
霧が晴れるとそこは大きく切り開かれた場所だった。愛らしく微風に揺れる野の花が先程の濃厚な霧を忘れさせる。
「さっきの何だったんだ?」
「霧にしては変だったよなぁ」
一緒に肩を並べて腕を組みながらまるで兄弟のように同じ仕草で首を傾げるディディーとトゥーンだったがいくら疑問符を浮かべたところで分かるはずもなく。
「あっ」
そんな彼らに興味のひとつも示さずピチカは咲いた野の花の群れの中に目ぼしいものでも見つけたのか小さく声を上げてぱたぱたと駆けつける。
「きれーな花!」
柔肌に感じていたひんやりとした空気を生んでいたのがそれなのかは知れないが透き通るガラス細工のような薄い水色の綺麗な花がそこに咲いていた。
「ほんとでしゅねぇ!」
うんうん、と頷いて目を輝かせる。
流石に摘み取ってしまうのは可哀想だと分かっているので双方共に触れずにいるが浴びせられる無邪気な眼差しに花が氷なら溶けてしまいそうで。
……。
………………。
「どうし」
「んきゃー!?」