お姉ちゃんに任せなさい!
……圧倒されるばかりだった。
ほんの少し視線を交えたというただそれだけで長年共闘してきたかのような連携を繋ぐ。実際そうだったとしてもあくまでも今の彼女たちは子供の姿であってその経験も何も一時的に振り出しに戻っているはずだ。それなのに。
「はああっ!」
まさか、ここまで――
「え」
思わずそんな声が零れた。
リムの拳は魔獣の頭部に届くはずだった。だが振り下ろした先に肝心の手応えは無く其処には頭部を模していた様子の煙が残されて。
もちろん消えたという話ではない。しかし気付いた時には遅く胴体を起こした魔獣が再び頭部を再生させながら尾を払った。咄嗟に防御の構えをとるリムだったが間に合わない。問答無用で幼い身体を打たれ声もなく跳ね飛ばされる。
「リム!」
……まずい。
「だ、」
均衡が崩れる。
「……!」
跳ね飛ばされたリムを目に逆上したドンキーが駆け出すも魔獣の咆哮に吹き飛ばされる。すかさずディディーが飛び込み受け止めたが勢いは消せないまま共に地面を転がって。
「くっ」
弓矢を構えて放つリンクだったがどうしたことか効いている様子もなく魔獣は胴体を起こした体勢のまま睨みつけている。一触即発の雰囲気の中腕を横に払い制止させたのはユウだった。
「効いていない」
「それは分かっています」
「対策の手立てもないのにどの口が言うんだ」
「この場を離れれば奴はまた身を隠します」
リンクは顔を顰める。
「だからといってどうするつもりだ」
言葉に詰まった。
「それは」
「兄ちゃん」
そうして口を開いたのは。