お姉ちゃんに任せなさい!



その時である。

リムが泉に背中を向けた、まさにそのタイミングで火山が噴火するかのように水が真っ直ぐと天に向かって勢いよく噴き出した。

「、え」

反応が遅れてしまうリムにちょうど真向かいに立っていたピチカは目を見開いて叫ぶ。

「危ない!」


――咆哮が森中に響き渡った。


間一髪といったところか。咄嗟に飛び込んだピチカの腕の中にはリムの姿があった。突進を仕掛けた張本人――即ち魔獣は数メートルとある胴体を躍らせながら、事態とは裏腹に青く澄み渡った空へと舞い昇る。

「まさかあれがっ」

神話に出てくる竜のような見た目をした全身が白銀に輝く魔獣が陽光を浴びる姿は神々しく。

「だ、だからってどうすんだよ」
「退治するに決まってんだろ」

呆然と見上げるだけのディディーとトゥーンの頬を冷や汗が垂れる。

「どうやって」
「退いてください」

ゆっくりと立ちはだかったのは。

「一瞬でカタをつけます」


ほんの少し視線を交えただけだった。

魔獣が吠え声を上げながら降下して突進するのを躱して弓を構え、矢を放つ。掠めたのか進路が捻れる魔獣の目の前にテレポートで移動したユウが浮遊しながら両手を翳して念力。

それで留まる筈もないがそれでも格段に速度が落ちたところで魔獣の頭上に現れたドンキーが脳天に踵落としを打ち込む。間を空けず側面を幾つもの波動弾が襲い魔獣は土煙を上げながらその大きな体を地面を引き摺って横たわる。

「後ろから襲いかかるなんて」

いつの間に。ピチカの腕の中から抜け出ていたリムが跳び上がり前転、勢いをつけて降下しながら力強く握り締めた拳を引く。

「マナー違反でしゅ!」
 
 
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