あだ名で呼ぼう!
……次の日。
「おにぃ!」
早朝の任務を終えて正午、ようやく屋敷に戻ってきたルーティを我先にと迎えたのは毎度お馴染みピチカだった。
「おかえりなさいっ」
「ん。ただいま」
そうしてルーティに差し出された手荷物を何のやり取りもなしに自然な形で受け取って会話を繋ぐのだからもうすっかり彼女もお嫁さんである。
「隊長さん来てるよ」
言うとルーティは顔を上げた。
「ロックマンが?」
ピチカは頷く。
……まあ近頃は何用でなくともわざわざ此方の屋敷に足を運ぶことが多い。それは敵対組織ダークシャドウ率いるスピカも同じことなのでなるべくなら鉢合わせてほしくないものだが昨日のような事例もある。あれは本当、心臓に……
「後はお兄ちゃんとぎむぎむ!」
……え?
「スピカじゃなくて?」
「にぃにはお兄ちゃんじゃなくてにぃにだよおにぃ」
ゲシュタルトが崩壊しそうだ。
「それとミカと村長とお姉さんと」
「ち、ちょっと待って。誰?」
名前というか呼称というかロックマンの家族の人だろうか。
「大丈夫っ!」
ピチカはにこりと笑って。
「おにぃも知ってるひとだから!」