あだ名で呼ぼう!
いやらしい!
そう言って煽るような視線を上から下を覗き込むように首を傾け浴びせてくるのだから紛うことなくいやらしい。
「大袈裟だなぁ」
「そうでしょうか」
そうだよ! パックマンは心の中で突っ込んでロックマンを振り返る。そんなあてにもならないようなこと気にしなくていいんだからな――って!
カップを持つ手が利き手と逆ッ!
「さてと。あまり長居もしてらんねえしそろそろ帰るわ」
スピカは立ち上がる。
「次は自分でお菓子を持ってきてよね」
「はいはい」
その隙。傍で控えていたダークウルフが音もなく構えた銃で虚空を撃ち抜き先に紫の世界を覗かせる空間を開く。
「それでは失礼します」
「また遊ぼうぜぇルー君」
愛称。……あだ名、か。
「ロックマン?」
役目を終えた空間が閉じたのち。椅子が床を擦る音にルーティは振り返る。
「少し用事が出来た」
「えっ?」
間を置かずにこりと笑って。
「またお邪魔させていただくよ」
何となく察し。
「行こう、パックマン」
そして場面は冒頭の台詞へと巻き戻る。
「あ、あだ名って」
司令塔一階にある会議室を使用した隊員総出の定例会議。突然の提案にたじろぐ声が上がるのも無理もない。
「この部隊も結成されて暫く経つ。より親睦を深める為にはこれ以上にない提案だと思うが……如何だろう?」