あだ名で呼ぼう!
……え。
「念のため言っとくけどからかってるんじゃなくて親しみを込めて呼んで」
「あだ名だったのか?」
そこから。
「隊長なんて他にもいるから紛らわしいだろう」
何処までも鈍いやつ。パックマンはやれやれといったように肩を竦めると。
「オレ達にとっての隊長なんて隊長だけに決まってるだろ」
ああ。どうやら自分は。
要らぬ心配をしていたようで。
「ロックマン」
もうとっくにその気というのは失せたというのにそれを知ってか知らずかルーティは小悪魔とも見て取れる悪戯な笑みを浮かべながら。
「……どうする?」
全くもう。
「しょうがない奴らだな……」
小さく息をついてそうこぼすその人は。
その日誰よりも、照れくさそうに。
「しかし自分の目的のために部隊隊員を巻き込むというのは感心しませんねぇ」
小さく笑みをこぼしたダークファルコがわざとらしくスピカに視線を遣る。
「何が言いたい」
「ふふ。なんでしょう」
「問題はない」
ロックマンははっきりと。
「誰一人欠けることなく指揮者の意向が正しいと信じて付き従った。お前たちのような身勝手な我が儘と此方の誇りある団結力を一緒にしないでもらえるか」
うわぁ。
「人が下手に出ていれば調子に……!」
「それは残念。そのまま埋まっていればよかったというのに」
「言ったなこの正義厨!」
ああ、このパターンは。
「タイプは違うけどあの二人ってなんか似てるんだよね……」
溜め息ひとつ。
飛び交う雷光と椅子やテーブルに今日の夕食はいつもより遅くなりそうだとルーティは呆れた眼で光景をそれに焼き付けながら密かに肩を落とすのだった。
end.
14/14ページ