あだ名で呼ぼう!



……? ルーティは首を傾げた。

言いづらいのやら口を閉ざしてしまったロックマンは半ば落ち着かない様子でかたかたと手を震わせながらカップを手に取る。波打つ紅茶を目においおいと突っ込みたくもなったがふとパックマンの視線を受けて言葉を呑み込んだ。

「いわゆる、名刺交換のようなものだと考えてもらえたらいい」

ロックマンは乾いた口の中にようやく紅茶を受け入れると潤して。

「よかったらその……親睦を深める為に我々も愛称で呼び合わないか?」


えっ。


「僕にもあだ名つけるの?」
「まさか」

訊くとロックマンは小さく笑みをこぼしカップを小皿に返す。

「君には素敵な愛称があるじゃないか」
「……えっと」

ルーティは首を捻った。

はたして自分にはそんな彼が賞賛する愛称といったものがあっただろうか。そう期待の眼差しを向けられたのではどうもプレッシャーというものが拭い去れないのだが……とまで考えて。

「もしかして」

ふと。

「“ルー”のこと?」
 
 
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