あだ名で呼ぼう!




うちの隊長は他の影響を受けやすい。

そして……分かりやすい。

「あだ名を決めよう」


事の発端はほんの数時間前に遡る……


「うげっ」

――エックス邸、食堂。

「おや」

ロックマンの隣でパックマンが可愛さの欠片もない声を上げて苦い顔をしたのは正直のところ無理もない話。

「こんにちは」

扉を開けたら見目麗しい男子学生が迎えたなどというのは遠い昔の話だ。今では敵対する褐色肌の亜種部隊とそれを率いるリーダーが迎えるこの御時世である。

「ご苦労様です。仕事帰りですか?」

先程から何やら親しげに接してくるのはダークファルコなる男。

「パックマン知ってるよ。ご苦労様って目下の奴に使う言葉だろ」
「おや。ばれていましたか」

指摘した途端人差し指の背を唇に当てて笑うのだから失礼と不愉快極まりない。

「飼い主なら手綱を引いたらどうだ」

ぐぬぬ、と歯軋りをするパックマンの横ロックマンは冷めた様子で。

「その辺にしておけ」

視線を当てられたその本人はテーブルに頬杖をつくと気怠そうに溜め息。

「騒ぎを起こすとうるさいからな」
「うるさくない。マナーでしょ」

ルーティはカップを置いてひと睨み。
 
 
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