第一章
エアポートからエックス邸まではそう遠くない道のりだった。歩いている間、ルーティはずっとウルフの服の裾を掴んでいて。
「おにぃ、聞いたよ!」
そんなルーティの背中をぽんと叩き、隣に並んできたのはピチカである。
ピチカはまるで自分のことかのように、
「ダークシャドウのリーダーと交渉して、撤退させたんでしょ? さっすが!」
と語っては、ピンクのハートを飛ばしながら、ルーティの腕に抱きつく。
ルーティは照れ臭そうに笑いながら、人差し指で己の頬を掻いた。すると、ピチカは何かを疑問に思ったのか小首を傾げて。
「でも、おにぃ。何処で交渉したの? 外だと太陽光に当たっちゃわない?」
――そういえば。
確かあの時、アーウィンに乗っていたダークフォックスや、ウルフェンに乗っていたダークウルフは太陽光が差し込まないように、コックピットを黒く染めていた。
なのに、ウルフェンの羽根に乗っていたダークピカチュウは、太陽光を遮るようなことはしてなかったのにけろりとしていて。
完全に見落としていた。つまり、彼は……