エピローグ
「変わらないね、ウルフは」
ぽつりと呟いた。
――優しくなった、とかじゃない。
本当は、ずっと前から優しかったんだ。だけど僕は、ウルフのオーラに圧倒されて、すぐには気付けなかっただけ。
「てめえも」
ウルフは小さく笑みを溢して。
「変わってねえよ」
ルーティはうっすらと瞼を開くと、もうだいぶ前のことを思い出していた。
コックピットに手を重ね、眉尻を下げて。
「ごめんね」
そう謝った理由が、あの日、ルーティがウルフに「何も失ったことなんかないくせに!」と言い放った時のことだと分かるまで、そう時間はかからなかった。
ウルフは暫く口を閉じていたが、ふと、コックピット越しに手を合わせてやると。
「次、言ったらぶっ殺すからな」
そう告げて、拳で殴り付ける。
すっかり油断していたルーティは驚き、コックピットから離れて。苦笑混じりに。
「……もう二度と言いません」