最終章
タブーは立ち止まり、振り返って。
「駄目に決まってるじゃないか」
ルーティのボルテッカーにより、全てが終わってタブーが取り込んだ全てを吐き出したあの瞬間……ラディスは敢えて、吐き出されまいとしがみついていたのだった。
それに気付かず、タブーは問いかける。他の誰でもなく、自分自身に、ひっそりと。
――かれらのいっていることはどういうことだろう。“たいせつなもの”ってなんだろう。ぼくにはわからない。
その時、答えたのはラディスだった。
――少しの間だけでいい。俺に体を貸してくれれば、それが何かを教えてやる。
「じゃ、そろそろ行くよ」
溢れそうになる涙をぐっと飲んで、タブーは顔を見られまいと正面に向き直る。
――本当はただ、会いたかっただけなんて、そんなこと言ったら怒るだろうなぁ……
間もなく、タブーの体を薄紫色の光が纏い始め、白い光は消えていき。それは別れのサイン。タブーは背中を向けたまま。
「じゃあな!」
明るい声音で、そう告げた。