最終章
――タブーに、ラディスが憑依している。
「っ……ラディス……」
途端に、フォックスは銃をホルスターに仕舞っては駆け出した。タブーに勢いよく抱きつき、ぽろぽろと涙を溢しながら。
「馬鹿! 馬鹿! お前も、ルーティも勝手だ……勝手に“大丈夫”とか“信じて”とか言って、戦場に飛び出して!」
フォックスはタブーを苦しいくらいに強く抱き締めながら、心の内を吐き出す。
「無茶をして! ぼろぼろになって!」
「フォックス」
「俺がどんな思いをしてきたか」
「フォックス!」
タブーはフォックスの背中を優しく叩き、静止させた。苦しかったのだろうか、とフォックスはタブーの体を解放して。
「……そんなに思い詰めていたなんてな」
タブーは申し訳なさそうに眉尻を下げて、自分より背の高いフォックスを見上げる。