最終章
案の定、辺りはざわついて。
フォックスは一旦はその名を口にしたものの、すぐには信じられず、落とした銃を拾い上げると再び構えて。
「違う! そんなのは有り得ない!」
何より、自分に言い聞かせる。
タブーはその場から動かずに突っ立っており、攻撃するような気配もない。ただフォックスを見つめ、穏やかな声音で。
「確かに、有り得ないかもしれない。でも、それは今ここで起こっている……これは奇跡なんだ、フォックス」
タブーは己の胸に片手を添えて。
「あの時、俺の墓は亜空間に取り込まれ、思い出としてこの子に食われた……だけど、俺の強い想いは、タブーの中でエネルギーとして消費されることなく生きていたんだよ。だから、フォックス」
タブーは微笑を浮かべると。
「信じてくれないか? 死んだくせに、会いに来てしまったどうしようもない馬鹿を」