第一章
ルーティは辺りを見回した。
……先程のルーティの行動は、戦況を大きく変えたらしい。ダークフォックスの乗っているアーウィンはファルコに、ダークファルコの乗っているアーウィンはウルフに背後を取られている。
飛び交ってる、のではなく空中で停止していた。ちなみにフォックスは、飛行機と連絡を取ろうとこの場を少し離れていて。
「……聞こえるか」
ダークピカチュウが口を開いた。どうやら無線だ。ルーティは目を見張っていた。
「一時撤退だ。さっさと引き上げるぞ」
そう告げて無線を切ると、ダークピカチュウは再び頭を抱えた。ダークウルフは納得がいかなそうだったが。
「ウルフ。こいつを」
そこまでしか言ってないのに、ダークウルフは逆らわず、ゆっくりとウルフの乗っているウルフェンに向かって前進した。