最終章
「あんしんしてよ。ケモノのように、むごたらしくむさぼったりはしていない……かれらはね、ぼくのなかでいきているんだ」
そう告げては両手を己の胸に添えて。
「かれらはぼくのちからをせいぎょしていた。……なぜだかわかる?」
――すると、タブーの背中にあの時と同じ、基調は極彩色だが全体的に色は薄い、巨大で特殊な形をした翼が広がって。
「ぼくが、つよいから」
その場にいた全員は警戒して散らばり、タブーを遠くから囲うように立ち、構えた。
「ずっとほしかったんだ。みんながあたりまえのようにもっていたものが」
タブーは頭を垂れると。
「ちいも、めいよも、なにもかも」
ぽつりぽつりとそう告げて、次の瞬間顔を上げると、タブーの半径一メートル程の範囲が抉れ、破片が浮かび上がり。
「さあ、みなみなさま? とられたくないなら、ぜんりょくできてよ」
タブーの体に薄い、青紫色の光が宿り。
「ぼくがあいてをしてあげる」