第六章
ルーティが、ウルフの敵意が偽物だと気付いたのは、必要以上に腹を狙うその動き。
鳩尾ではなくそこを狙ったのは、意識を保ったままダウンしてほしかったからに違いない。しかし、それだけでは確信出来ず、それでも信じて稲妻を放つのは控えた。
「てめえがでかい声を出すから、本当にくたばったもんかと思ったぜ?」
ウルフが小さく笑みを溢すと、ルーティは不貞腐れたようにぷいと顔を背けて。
「もう、酷いな。だってウルフってば、全然手加減しようとしないんだもん」
――実は、ウルフの表情が和らいだあの時、ウルフは密かにこう伝えていたのだ。
動くな。じっとしていろ、と。
「嘗めた真似を」
マスターはクレイジーの元へ歩み寄ると、隣に並んで左手を握った。すると二人を、薄い青紫のバリアが包み込んで。
「僕と兄さんに逆らったらどうなるか……思い知らせてあげるよ」
その近くに倒れていた、クッパとガノンドロフの体がふわりと宙に浮かび上がる。
意識を手放しかけていた彼らの瞳は、やがて赤黒い光を不気味に灯して。