第六章
ロボットはゲムヲの頬を伝う涙を指で掬うと、ただ意味もなくそれを見つめて。
「大好き……」
確かめるようにぽつりと呟いて、ゲムヲの頭を優しく撫でる。そして、不意にその手を止めると、再び困ったように。
「……やっぱり、分からないデス。こういう時、どういう顔をすればいいのか」
すかさず、ゲムヲは答えた。
「大丈夫……大丈夫だよ……僕が、教えるから」
ゲムヲは今まで頭を撫でていた手を取ると、優しく笑いかけた。それを見たロボットは、真似するように口角を吊り上げて。
笑顔のつもりだろうが、ぎこちない。
「……何か忘れてるような」
すっかり本来の目的を忘れて場の雰囲気に和んでいると、ふと、ルーティは呟いて。
ドカン!
爆発音が鳴り響いた。廊下全体が揺れ動き、ルーティははっと廊下の先を見遣る。
――嫌な予感がする。