第六章
マスターの手によって、身勝手な計画の為に生み出されたロボット。
オリジナルである彼をベースにして造られたロボット達は、亜空軍の戦士として戦場に駆り出され、敢え無く散っていった。
ある時は目の行き届かない場所で。ある時は目の前で。戦い以外の何も知らぬまま。
「……分からないのデス」
そこでロボットは初めて、眉尻を下げて困ったような表情を見せた。
――仲間のロボットが戦場に散るのが悲しいとか、悔しいとか、そんな感情は理解できない。いや、知らないのである。
今まで、知ろうともしなかったのだから。
「パートナーだから、悲しいのデス?」
ゲムヲが顔を上げると、同時にロボットは無表情に戻って小首を傾げる。
「そうじゃないんじゃないかな」
最初より敵意を感じなくなったので、警戒心を解いたルーティは、手を後ろで組みながら、何も無いところを見つめて。
「パートナーじゃなければどうでもいいとか、そうじゃなくて。……無感情に働き、傷付き、それでも戦うことが悲しいんだと思う。君が思っている以上に、ゲムヲにとっては大切なパートナーだから」
ルーティは微笑を浮かべると。
「きっと、君のことが大好きなんだね」