第四章



一方、ここはエックス邸内。

あの時、ルーティに無理矢理中に押し遣られたピチカは、玄関に立ってじっと扉を見つめていた。もちろん、今、すぐ外で何が起こっているかは知るよしもなく。

「どうしたんだ?」

ついさっきまで寝ていて、ようやく目覚めては食事と着替えを済ませたフォックスが、欠伸を洩らしながら現れて。

気付いたピチカは振り返ってフォックスを見遣ると、扉を横目に、不安げに語った。

「あのね、さっき外に変な男の子がいて」

ピチカは目を伏せると。

「それで、おにぃが中にいろって」

野生の勘。フォックスは嫌な予感がして、思わず、ピチカに詰め寄った。

「誰がいたんだっ!」

唐突に両肩を掴まれ、ピチカは驚き「きゃっ」と声を上げる。騒ぎを聞き付けたのか、二人を囲うように人だかりが出来て。
 
 
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