第二章
場面は切り変わって、エックス邸。ルーティがマスターとクレイジーの救出に赴き一夜明けた早朝──リンクは情報を得るべく屋敷の中庭の至る所で待機する報道陣を冷めた目で見下した後自室のカーテンを閉め切って振り返った。
「……とんでもないことになりましたね」
今度の事態に関してはルーティを見送った後フォックスはウルフと肩を並べて呑み込みが早いであろう一部のメンバーに説明していた。とはいえこの状態では外出も儘ならない。落ち着くまで身を潜めていればそれが絶対安全だろうがそうもいかない。ルーティが違和感を感じたように彼らもまた不信感を抱いていたのである。
「で。これからどうすんの」
カービィは腕を組んで壁に寄りかかった。
「何もしないわけにはいかないでしょう」
「分かってるよ」
「その点についてはゆっくり煮詰めていこう」
「順番が逆ですよ」
リンクが溜め息を吐き出すとフォックスは耳や尻尾を垂れた。
「相談してくれてもよかったじゃないですか」
「寂しがっているのかい?」
「仲間ですからね」
口を挟むマルスにリンクはきっぱりと惜しげもなく答える。何だかんだ長い付き合いである。自己判断で無茶をされるのは怒りを覚えるより以前に胸が痛むのだ。"仲間を信じる"なんて皆等しくあの人に教えてもらっただろうに。
「あー。反省会はやめやめ」
マリオが両手を軽く振って宥めた。
「論点はそこじゃないだろ」
ごもっともである。誰もが返す言葉もなく口を噤んでしまうとマリオは溜め息を吐き出して。
「俺たちはどうすりゃあいい?」
視線を投げかける。
「……仮のリーダーさんよ」