第二章
硬い地面を背にして夜の空を見上げる。こんなにも美しい宝石のような星の群れを前にしても尚気持ちが休まるはずもなかった。
この国が。創造神と破壊神を殺めようと躍起になっているだなんて。時折聞こえるプロペラの音や風に揺すぶられる周辺の木々に不安を抱きながらも次第に睡魔が夢の世界へ導いてくる。これが何の前触れもなく起こったことだなんて想像もつかないな。いや、ひょっとしたら国は──司令官は以前からこの計画を企てていたのだろうか。古代兵器を覚醒させるために。
マスターハンドとクレイジーハンドを。
初めから。……殺すつもりで。
それにしても──古代兵器というのは一体どういう見た目をしているのだろう。古代兵器等と大層な呼称を与えられているくらいなのだから歯車を軋ませて時折蒸気を吐き出すような自立歩行型の巨神兵だとか。そうとなるとますます今の今まで何処に保管していたのかって話に。
「っくし」
風に鼻をくすぐられてくしゃみをする。
「もう寝ろって言っただろ」
スピカが呆れたように呟いた。
「はぁい」
呑気に言葉を交わしてはいるが自分たちの置かれた状況は芳しくない。何が起こるかも分からない明日に備えて体を休ませておかないと。
「おやすみなさい」
「ああ。……おやすみ」