第二章
皆がそう言うのならそうかもしれない。
なのに。……何だろう。
違和感が纏わり付いて離れない。
「ルーティ」
びくりと肩を跳ねる。
「俺たちは明日も早いから寝るよ」
「あ……う、うん。そっか」
頭の上にぽんと手のひらを置いて笑いかける。そうしてその場を離れるフォックスの後に続くようにしてファルコはひらりと手を振る。
「……おやすみ」
誤魔化せていない気がする。
曖昧な表情を取り繕えないまま見送って行き先のなくなった手のひらをそっと下ろす。中継を終えて尚ニュースキャスターが二言三言語っていたが耳に入るはずもなく他の目を盗むようにリビングを抜け出た。通路を歩く最中すれ違う仲間に怪しまれないように平然を装いながら階段の陰に足を進めて携帯を取り出す。
……スピカ。
事実だからといって何だというのだろう。連絡を取ろうと指を滑らせてみたが躊躇いが生じてその手を止めた。冷静を取り戻すべく一度瞼を下ろしてゆっくりと息を吸う。……息を吐く。
『電話を掛けるから出てほしい』
メッセージを送信する。数分ほど睨めっこしてみたが既読は付かなかった。
「、……」
履歴を遡って友の連絡先を探し当てる。祈りを胸にひと呼吸置いて。
ゆっくりと。携帯を耳に当てた。