第二章
まさか。でも。……本当に?
「彼らはその報いを受けなければならない」
あまりにも唐突すぎて。
「これは我が国民の望みではなく」
頭が。
「──全世界の望みだ」
追いつかない。
「嘘くさ」
ドンキーが呟いた。……そうだ。
彼らには電波を乗っ取って全世界に戦線布告をしたという前科がある。今回の放送だってそれらしく見せておいて実際は此方をからかう為に用意しただけの映像に過ぎないのでは?
「ちょっと盛りすぎですよねえ」
「そうかなぁ」
苦笑いを浮かべて同意するヨッシーとは裏腹にピチカはテレビの画面から目を離せない。
「あら。何をしているの?」
現れたのはシフォンとピーチである。
「マスターとクレイジーが捕まったんだって」
「まるで何処かの国のお姫様みたいね」
「ですって。助けてきたら?」
「なんでそれを俺に言うんだよ」
あれ?
緊張の糸が解けていく。箱の中では尚も演説のような言葉の羅列が並べられているというのにこの場の空気がゆるりと温度を取り戻していくのが分かる。他愛もない声と声に自分一人だけ置いていかれてしまったような感覚の中で。
「今宵。零の鐘が空に落ちる頃に」
耳にまとわりつく。
「──邪なる双子に制裁を」