第二章
◆第二章『制裁と叛逆』
照りつける太陽。青空の下。銀の光沢を走らせ喉元に向けられた剣先に唾を呑む。冷めきった目が見下せば男は呼吸をするのも忘れて。
「さあ。返していただきましょうか」
白黒の車が赤い灯を回しながら去っていく様を見送って短くため息。拍手喝采の中で剣を鞘に納めれば、傍観するパートナーに囁く。
「行きましょう」
まさか街中で強盗殺人事件に出くわすとは──ちょっとした用事を済ませる為だけに街に繰り出していたというだけだったのだが自分にしろ相手にしろ運の悪いことだ。とはいえ銀行から飛び出してきた犯人の暴走による一般市民への被害が拡大する前に事件を解決に導けたのは、不幸中の幸いか。兎角今は視線の痛いこの場を早々に退散したいあまり早歩きになってしまいながらすっきりのしない思考をぐるぐると。
「兄ちゃん」
呼びかける声にハッとする。
「す、すみません」
置いていってしまう勢いだった。
パートナーのトゥーンリンクは今回買い物した代物が入った紙袋を両手に抱えて歩いているというのに自分ときたら。
「わかるよ。エグかったもんな」
「慣れないでください」
「兄ちゃんが慣れてないのに?」
返す言葉もない。
「最近なんか増えたよな」