第一章
僕たちは──生きている。
眩むほどに忙しい"この世界"で。
誰もが目指す平和なんてものは永遠の課題なのかもしれないな。今日もどこかで望まぬ結末に朽ちる者もいれば産声を上げる新しい命に泣き腫らしながら歓喜する者もいて。ひとつひとつ物語を噛み締めるように確かめるように世界は時計の針を刻んでいく。
この世界に。沢山の物語を溢れさせながら。
光を。
「……?」
きょとんとして顔を上げる。
「ルーティ?」
騒がしい声も音も遠ざかって見つめる先には。
「どうしたんだい?」
天空大都市、……
「何でもないよ」
盲目になっていたんだ。目先の日常に。
ありふれた幸福に。
針を刻む音に紛れて歯車が落とされたことに。純真無垢の戦士たちは気付かない。ゆっくりと停止した針は代わりに当てはめられた型の合わない歯車の元か細い声を上げて何事もなかったかのように。誰にも気付かれないように。
そして。
僕たちは試されることになる。
パートナーとの絆を。戦士としての誇りを。
未来を。希望を。