第一章



「ルーティ!」

え?

「うえええぇえっ!?」

声を上げて驚いてしまった。白い羽根が夕陽に反射して眩しく。駆けるウルフェンと並行して飛ぶのはなんとあのピットだったのだ。

「な、なっ」
「間抜けなツラだな」

開いた口の塞がらないルーティを相手にふんと鼻を鳴らしたのはブラピである。

「ブラピって言うな!」
「ナレーションに突っ込まないの」
「な、なんで飛んでるの」
「パルテナの飛翔の奇跡だね」
「ボクが説明しようと思ってたのに!」

ごめんごめん、とマークが手を合わせる。

「一緒の任務だったんだね」
「こいつが勝手についてきたんだ」
「もう。よく言うよ。暇なら付き合えって無理やり外に連れ出してきたくせに」

嘘か真か探る間もなく破裂音。

「その口を閉じろ! 女神のフンめ!」
「やったな!」
「あああ危ないってば!」

鉢合わせするや否や何やってるんだ!

「ぱ、パルテナは止めないの!?」
「見えているはずだけど」
「止めないあたり楽しんでいるわね」

神様ってやつは!

「わああ!」

ウルフェンの周りを飛び回りながらそれぞれの武器を振るうピットとブラピ。ルーティはあわあわと慌てふためくばかりで止める術もなく、頼りの双子軍師さえ慣れは恐ろしいもので別段それ以上は気にかけずに。平常心と経路だけを見つめていたウルフも溜め息を吐いて。

「てめえら! 遊びは終わりだ!」
「ウルフまで感化されないでええええ!」
 
 
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