第一章
……仮説。
「まずは隕石の衝突によって出来たクレーター説。言ってしまえば自然現象ということね」
そこまで考えているなんて凄いなぁ……
次々と仮説を上げて語るマークとルフレを前にルーティは頭の切れる人間は観点から違うなと思い知らされた。硝子の破片を拾って光り物を集めているのかなどとパートナーにぼやかれた自分とは全くもって訳が違う。
「そうだね。後は」
マークは人差し指の背を顎に添えながら。
「大昔にあった大きな戦いの痕跡とか」
……大きな戦いの……痕跡……
「……?」
足下が振動したような。
「おぉーい!」
大声に振り返るとスネークの傍らで手を振っているソニックの姿があった。いつの間にか日も傾いてきている。橙色の滲む空に目を細めて。
「僕たちも帰ろうか」
朱を流したような夕焼けが美しく──柔らかく吹く風に髪の毛を揺すられて擽ったそうに掻き分けて目を細める。足を崩した楽な姿勢でルーティはそっとハッチの硝子に触れた。
「なんだ」
操縦士のパートナーが問う。
「……ううん」
小さく笑いかけた。
「お疲れさま」