第八章



、これは──ルーティは咄嗟に自分の手を見たつもりだったがそこに映るのは大小様々な花を咲かせた白い地面だけ。この映像という名の記憶に関与しないからという理由でノイズになり兼ねない自分の体は透過してしまったかのようで。


おれとお兄様は。

多くに祝福されて生まれ落ちたんだよ。


語りが頭に響き渡る。


澄んだ鐘の音。

天空人の中でも類を見ない聖なる光に恵まれて。誰もが確信したんだ。神様に成れるって。


この世界を。

天空人のものにすることが出来るのだって。


でも。

神様に成れるのはひとりだけ。


古い書物に記されていたんだって。

創造神と破壊神は元々ひとつの神様で。


望んでふたつを選んだ。

力を半分こした中途半端な神様。


「お兄様が神様になったらね」

そう話すと決まってお兄様は額を小突いた。

「お前も成るんだ。ダーズ」
「……えへへ」


お兄様。

そんなこと出来るはずがないよ。


おれとお兄様がいくら何を望んだって。

いつだって世界は。


残酷に。……悪辣に。
 
 
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