第一章



「──!」

砂煙の中から飛び出してきたのは想定していた攻撃ではなかった。紫色の光を妖艶に灯すエネルギーの柱が一つに限らず幾つも。ぎくりとして足を竦ませていれば寸前に駆けつけた戦士の攻撃が余すことなくそれを弾き落とした。

「ソニック! スネーク!」

呼ぶ声に応えるように白い歯を見せて笑いかけながら親指を立てるソニックの側でスネークは肩に担いでいたロケットランチャーを下ろして短く息を吐き出す。

「ジッとしてるなんて柄じゃないだろ?」
「そりゃお前さんのことだろう。パートナーの体も労ったらどうなんだ」
「残念ながら俺は体力を持て余してるんでね」

他愛もないやり取りに安心感を得る。


「うるさい」


刹那、砂煙の幕は弾かれるように払われた。

ぎくりとして一斉に身構えればそこには左目に深い紅の灯を宿らせた破壊神が虫の居所が悪いような面持ちで睨みつけていて。その背には先程思わぬ傷を負った兄の創造神が打ち付けたのだろう左脇を右手で抱えて立っている。

「返してやるよ」

訊くより早く冷めた口調で吐き捨てた彼が指を鳴らすとその後方に不気味に黒を渦巻く二つのブラックホールが現れた。思わず目を見張っているとその中から程なく二つの影が放られる。

「マーク! ルフレ!」

ルーティは思わず声を上げる。

「大人しくしていれば見逃してやったのに」
「それはこっちの台詞だ」
「だな」

スネークの切り返しにソニックは頷く。

「兄さん」
 
 
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