第四章
瞬きをした。次の瞬間には光が交差していた。
塵ひとつ残らない虚空を目にルーティは視界が揺らぎ眩暈を覚える──希望の象徴だとばかり思っていた光が全てを掻っ攫っていく。これが数千年前に世界の半分を灼いた古代兵器の力。
……半分は?
「くっ」
ワープスターが速度を限界にまで増した。その先には見覚えのある紫色の空間が不気味に顔を覗かせておりマスターとクレイジーが両サイドに待機していて。カービィは後ろをちらりと見遣り飛び込むことを決意する。
光の群れも逃さんとするように速度を増したがカービィの肩に担がれたルーティの首元を既の所で掠めるだけに終わった。カービィ達を乗せたワープスターは空間の裂け目のその先へ飛び込みマスターとクレイジーが後を追うと空間は口を閉じて。行き場を失った光はその場を交差して空を切り光の粒子を残して消え失せる。
「──────」
大穴の開かれたレイアーゼ中央司令塔最上階。
螺旋の羽を纏い浮遊する光の化身は僅かに息をあげながら頭を抱えていて。脳裏にちらつくのは光に呑み込まれる最期の瞬間まで互いを庇い合う兄弟たちの姿。終いには双神が手を繋いで能力を発揮する様子までもが鮮明に──
「、っ」
懐かしい記憶が流れ込んできた。
遠い昔に置いてきたはずの苦い記憶。
「……私は」
一度閉ざした後ゆっくりと開かれた瞼の下から覗かせるは空を映したライトブルーの眸。
「必ず、……」