第四章
手を伸ばした。……けれど。
「!」
軽々と肩に担がれる。兄妹を光が呑み込むのは早かった。ルーティが叫ぶのも構わずウルフは光の猛攻を躱しながら駆け抜ける。飛び込もうとしたワープパネルが目前で光の束に貫かれるのを見て舌打ち混じりに後方へ飛び退いて。
「こっちだ!」
そんな声を頼りに振り向けば密室だった室内に外の世界の光が差した。エネルギー弾によって壁を壊したのはロックマンである。その間も光による攻撃は止まらずウルフはやむを得ないと見て駆け出し開かれた穴に向かって飛び込む。
「ロックマン!」
ルーティは遠ざかる彼が最後光に呑まれるのを確かに目にした。現状を知らぬ青い空と無慈悲にも遠ざかる白の巨塔。光は尚も別の生き物であるかのように此方を追尾するが既の所でウルフェンが二人を拾い上げた。ウルフはすかさずコックピットに乗り込んで操縦に入る。
「……!」
改めて目にすることになる光の猛攻。あらゆる手段で脱出する面々を執拗に追いかけて逃さず呑み込んでいく──攻撃も何も通用せず防壁も易々と貫いて一人また一人と脱落していく様。
「うわっ!」
機体が急旋回した。情けない声を上げて必死にしがみつきながら後方を見ると光が群れを成して畝り、交差して時には四方から呑み込もうと飛び込みながら追いかけてきていた。ウルフは操縦に集中しているのか一言も話さない。
「──ルーティ!」
その声に後方から光とは別の何かが追っている事に気付いた。襲い来る光を躱しながら距離を詰めてきたそれは空に星の煌めきを残して。
「、!」
掬い上げるように。ルーティはワープスターに乗っていたカービィに攫われる。
「掴まって!」
ルーティは遠ざかるウルフェンを見た。
「ウルフ!」
手を伸ばしたけれど。届かない。
「ウルフ──ッッ!」