第四章
「──────」
次の瞬間──眩い光が巨大な二つの白い手袋の手のひらの間から溢れ出して。それはたちまち部屋全体を包み込むほどの白い光を解き放ち、巨大な二つの白い手袋はまるで化けの皮を剥がされるかの如く破れて溶けて双子の姿に戻る。
「ッ!」
刹那シュルクとユウは異変を感じた。それぞれ双眸を青色と赤色に染めて──未来を捉える。
「光が」
「闇が」
口々に呟いて。
「──救済の光を」
空中に高く浮かび上がり淡く光を纏うその姿は降臨した神の如く。静かな口調で呟けば螺旋の羽は力を取り戻したかのように受けた傷を修復して羽軸を広げると光を灯す。その光は次第に増幅していきやがて──放たれた。
「兄さん!」
まずいと踏んだマスターが指を鳴らしたがその瞬間変化は訪れなかった。光は長く尾を引いてそれぞれが別の生き物であるかのように群れを成して動き各々に襲いかかる。
「きゃあああっ!」
「皆っ!」
回避を試みるも光は畝り時として地面を抉り、躱した先で捕らえてくる。光に追突されたその人がどうなったのか確認する術もない。ただの明るいだけの光であれば救いはあるが数千年前この世界の半分を灼いた光である。ルーティは回避を選択する──右へ左へ躱して跳び上がり襲いくる光を体を捻り何とか回避するも。
「スピカ!」
無謀にも光を恐れず駆け出していく親友に声を上げた。その先には唯一無二の妹が足を痛めて蹲ってしまっている。
「にぃに……っ」
「大丈夫だ」
スピカはピチカを抱き締める。
「俺は……お兄ちゃんだからな」